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その日は、咲にとって本当にいつもと変わらない日だった。
違うことと言えば、今日が誕生日だという事だけ。
二十歳の誕生日であるこの日
勤め先のキャバクラでのイベントを終えた咲は、学生時代からの友人で同じお店の葵ら数名と、飲んでいた。
二十歳と言えば、少し背伸びしたい年頃で、たいして飲めない酒を煽った咲は頬を染めていた。
「オメデトー」
「やっと飲みにいけるじゃーん」
守ってもいない法律に、気にした事もない成人の日を祝ってもらっていた。
この中では一番付き合いの長い葵からは懐中時計を貰った。
アンティークにハマっているという話を覚えてくれていた事が嬉しく、咲は何度となく乾杯し、浮かれた。
「アリガト~!
葵愛してるぅ~」
その日の
能天気な自分を後悔することは無い。
何度思い返しても、感謝している。
ただ、戻りたいなと思うだけで。
。
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