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「ただいま~。
っても誰もいないけどッ。」
朝の5時
まだまだ肌寒いこの季節、さすがにまだ外は薄暗い。
咲はケープも脱がず、ソファーに転がった。
『う~。眠いけど寒い。』
独り言をつぶやきながら、友人から貰った懐中時計に手を伸ばした。
お客さんから貰ったプレゼントは明日の出勤前、夕方にスタッフが運んでくれることになっているので、今はこの懐中時計のみ持っている。
「ホントに綺麗。。。」
咲はぽつりと呟き、そっと懐中時計の細工を撫でた。
初めて見るはずのそれは、なぜか懐かしく、切ないほどに胸を締め付ける。
友人の誕生日プレゼントがこんなに嬉しいものだなんて…
うん、大切にしよう…
懐中時計をそっと握り締め、
咲はそのままいつの間にか意識を手放していた。
意識を夢のなかへ旅立たせた咲の手から、懐中時計が滑り落ちそうになった瞬間、懐中時計はポワンと光を帯びた。
その光はまるで、意志を持ったかの様に咲を包み込み、、、
ソファーには
温もりのみ
残った。
。
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