▲第一章▲

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「ただいま~。 っても誰もいないけどッ。」 朝の5時 まだまだ肌寒いこの季節、さすがにまだ外は薄暗い。 咲はケープも脱がず、ソファーに転がった。 『う~。眠いけど寒い。』 独り言をつぶやきながら、友人から貰った懐中時計に手を伸ばした。 お客さんから貰ったプレゼントは明日の出勤前、夕方にスタッフが運んでくれることになっているので、今はこの懐中時計のみ持っている。 「ホントに綺麗。。。」 咲はぽつりと呟き、そっと懐中時計の細工を撫でた。 初めて見るはずのそれは、なぜか懐かしく、切ないほどに胸を締め付ける。 友人の誕生日プレゼントがこんなに嬉しいものだなんて… うん、大切にしよう… 懐中時計をそっと握り締め、 咲はそのままいつの間にか意識を手放していた。 意識を夢のなかへ旅立たせた咲の手から、懐中時計が滑り落ちそうになった瞬間、懐中時計はポワンと光を帯びた。 その光はまるで、意志を持ったかの様に咲を包み込み、、、 ソファーには 温もりのみ 残った。 。
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