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「先生!これは一体なんでしょうか?!」
若者は、先生と呼ばれる男に不安そうな顔を見せ、たずねた。
「…分かりません…。
これは…人でしょうか?」
誰に問い掛けるでもなく呟いた言葉、
二人の男の前には、
白く長いヒラヒラとした、
そう、まるで天女の羽衣の様な物に、黒い獣の毛でつくられたと思われる羽織りに身を包まれた人がいた。
いや、人には見えなかった。
薄茶色の波打つ髪の毛はうっすらと朝露に濡れ、まるで輝きを放っているようであった。
しばらく放心していたが、先生と呼ばれる男は慌てたようにもう一人に言った。
「とにかく、このままにはしておけません。
屯所に運びましょう。」
そう言うと、彼はその者を抱きかかえ寺を後にした。
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