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「起きてください、翔様。朝ご飯が冷めてしまいますよ?」
「んー…あと、五分…」
朝が弱い僕は、肩を揺すり優しく起こすリンの手を軽く振り払い背を向け丸くなった。
「……仕方ないですね…」
「っあ…!お、お前なぁっ」
「おはようございます、翔様。今日も清々しい朝ですよ」
このやろう…よりによって一番の弱点である耳に息を吹き掛けた上に食みやがった。こんなことして爽やかな笑顔で‘おはようございます’だなんて信じられない男だ
僕は奴から距離を取り無言で睨むつけた
「さ、朝ごはんにしましょう。すぐに準備しますね?」
「……トマトは使ってないだろうな?」
以前は食べられたトマトも力を手にしてこの屋敷に軟禁状態になってから見るのもダメになった
トマトだけでなく、リンゴやさくらんぼなど、赤い色をしたものは全滅だ
「はい、もちろん…今日は依頼がないので、たまには出掛けますか?」
「こんな昼間からか?真夏にこんな格好はさすがに変だろう?」
僕が腕を隠すように着てる長袖のトレーナーを指し言うとリンは首を横に振る
「大丈夫ですよ。俺もこの格好ですから…人目なんか気になさらないでください」
「……お前、その執事服のまま僕と並んで歩く気か?絶対変だろ」
「だから、気にしなければいいじゃないですか」
「気にしないことが出来るかっ!」
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