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「何故ですか?」 「………本気で言ってマスカ?そこの人」 僕は侮蔑の意を込めた冷たい目でリンを見て尋ねた。すると奴はあろうことか悩むことなく頷いてきやがった! 「あのな……もういい、僕が着替える。着替えるから出てけ」 僕は部屋の扉を指しキツめの口調で言った。 リンとはやはり価値観などが合わない…故に話も噛み合わないこともしばしばだ。だから、最近はなるべく長く話さないようにしてる 理由?そんなの時間と労力の無駄だからだ そんなくだらないことに時間を裂くくらいなら、あの男を探すことに時間を裂くさ 「……何を今さら恥ずかしがってるんですか?翔様の体は見慣れてますよ。更にいえば触りなれてますし」 「っ……笑顔で誤解を招きかねん言い方をするな!」 嘘ではないが絶対、語弊がある…たんに傷の手当をさせただけでなんでこんなセクハラめいたことを言われるんだよ 「おや?何か間違ってますか?それに、聞いてる人なんかいませんから大丈夫ですよ」 「っ、間違いではないが…大丈夫でもないだろう?僕が恥ずかしいから止めろ」 火照る顔をリンから逸らししどろもどろになりながらか細い声で僕は言う 「…すみません、聞こえないので俺を見てもう一度はっきりお願いします」 「だから、んんっ…!」 半ばヤケになりリンを見て言おうとするもいきなり引き寄せられキスされた。 おまけに何か飲ませやがった…驚いて飲んでしまった 「っ…随分乱暴ですね」 「まずっ…当たり前だろう!何を飲ませた?」 リンの唇を噛んだまではいいが僕の口にもリンの血が入り僕は顔をしかめた でもすぐに睨み付けリンから身を離し問うた 「単なる造血剤ですよ。放っておくと、翔様はいつもお飲みにならないので…朝食、ちゃんと召し上がってくださいね?では後ほどお迎えに参ります」 涼しい顔をして最もらしいことを言ってリンは部屋を出ていった 「くそっ…!」 悔しさから僕は力一杯壁を殴ってへこませた 力でも口でも勝てないなんてこんなに悔しいことはない。せめてなにかひとつ勝ちた…いかんいかん、今はリンのことなどどうでもいい さっさと食べて着替えねば…時間が惜しいからな この時、僕の中には‘出掛けない’という選択肢は不思議となかった 思えばこれもあの男のいう『必然的運命』だったのかもしれない
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