第一話

18/32
前へ
/135ページ
次へ
「ほら、お前たちさっさと入れ」 シルビアが、そんなやり取りをしている二人を、早く中に入るよう促した。 思い出したように付け足す。 「あぁ、そうだハサウェイ、お前はSクラスだ」 「はい、わかりました」 今年のアークライム騎士養成学校のクラス編成は、A~Iまでの9クラス、それと入学試験での成績上位20名で構成されるSクラスの全10クラスがある。 学年は1~3学年まである。 自分のクラスを聞いたハサウェイは、ティアを連れて闘技場の中へ入って行った。 ハサウェイのいなくなった入口で、シルビアがぽつりと呟いた。 「あの子が、他人と手を繋ぐとは……な」 そう呟くシルビアの顔は、どこか嬉しそうであり、満足そうな表情を浮かべていた。 ――――― ――― ― 「ハサウェイ君、Sクラスなんですか。 ふふっ、私もなんですよ?」 「へぇ、そうなんですか。 ティアは成績優秀なんですね」 どうやら、ティアも同じSクラスらしい。 それにしても、ティアはやけに嬉しそうな顔をしている。 ――何かいいことでもあったんでしょうか? ハサウェイとティアはSクラスの最後尾に並び、着席した。
/135ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加