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――僕も早く帰りますか……
ハサウェイは、サムライソードを腰に差し、鞄を持って教室を出た。
教室にはまだ、仲のよい三人グループが、残って話をしていた。
―――――
―――
―
太陽が燦々と照らす大通りを、一人の少女が歩いている。
長く伸びたサラサラの亜麻色の髪、吸い込まれそうな大きな瞳、桜色の小さな唇。
一言で言うと、とても可愛らしい女の子だ。
通り過ぎれば、十人中十人が振り返るだろう。
少女の名はティア・ヒルド。
ティアは、石畳に覆われた大通りを、王城とは反対側……
つまり、南に向かって歩いている。
幼い頃から、外出したことがあまりないティアにとって、目に映る全てのものが新鮮だった。
ティアは、特に体が弱いということはない。騎士養成学校に入るくらいなのだから、体が丈夫なことはあっても、弱いということはない。
それでも、外出をあまりしたことがないのは、ティア自身にはどうすることもできない、立場や身分の為であった。
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