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ハサウェイは恭しく一礼した後、入ってきた扉を開けて鍛冶屋を出た。
去り際に、バルカンの「任せとけって!!」という近所迷惑極まりない大声が聞こえてきて、ハサウェイは思わず耳を塞いだ。
しかし、バルカンの声は恐ろしい威力で、五分経った今でもキィーンという耳鳴りがしている。
ハサウェイは、未だに耳鳴りがする頭を空いている片手で抑えながら、ようやく戦士の空騒ぎ亭にたどり着いた。
今は、丁度お昼過ぎであり、腹を空かせた大人たちが次々と店へと入っていっている。
ふと、扉の横で立ち尽くしている少女がいるのに気付いた。
――あれは、ティアじゃないですか。
どうしてこんな所にいるのでしょう?
お酒を飲むようには見えませんし、まぁ声を掛けてみれば分かるでしょう。
ハサウェイは、そう思い、何やら考え込んでいるティアの後ろにそぅーっと近付き、
「あれ……?
ティアじゃないですか?
こんな所でどうしたんです?」
と声を掛けた。
「えっ、ええぇぇぇー!!!!」
それが、ハサウェイを見た少女が発した第一声だった。
ハサウェイは思った。
くっ……!! バルカンさんに匹敵するヴォイス攻撃です……!!
と…………。
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