プロローグ

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男からも、兄と同じ大量の鮮血が飛散する。 そして、男の体はそのまま仰向けの状態で、引力に引っ張られるように地面に崩れ落ちていく。 それと同時に、兄の体も地面へと崩れ落ちた。 横たわる兄の体から真っ赤な液体が円環状に拡がっていく。 ハサウェイは、横たわる兄の所に行き、力なく座り込んだ。 「あ……ぁ…あ"ぁ"……」 言葉にならない嗚咽を吐き出す。言葉を忘れてしまったみたいだ…… 喉が、目が、体中が焼けるように熱い。 なのに、胸にはぽっかり穴が空いたような空虚な感覚がへばりついている。
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