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――どうして、お兄ちゃん……が?
僕がいたから?
ハサウェイは、無意識の内に兄の手を握っていた。
もう、生きた人間から感じる温もりは感じられない。
……冷たい。
――僕が飛び出していかなかったら、兄ちゃんは死ななかった?
いつも太陽のような笑顔で、空のように自分を優しく抱いてくれた、あの兄の温もりは微塵も感じられない。
感じられるのは、こちらまで凍り付いてしまうような、冷徹な体温だけだ。
ハサウェイは、ありったけの力で兄を抱き締めた。
いつも、泣いていたり、叱られた後に兄が自分にしていたように、優しく……でも、力強く兄を抱き締めた。
生気を失った兄の顔に、大粒の雫が雨のように降り注ぐ。
血を洗い流すように……
まともに、喋れるようになった口で、世界で一番大好きだった兄を何度も呼ぶ。
「兄ちゃん、兄ちゃん……にい…ちゃん」
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