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「……ん」
コーヒーの香りが鼻をくすぐる。
胸元に違和感を感じる。
…あれ?
重いまぶたをこじあけ、首を持ち上げると
「…あさっぱらから、なにしてんですか…」
視界に入るのは
「料理長…」
この人は、アタシが働くレストランの料理長。
今まで、過剰なスキンシップだけで片想いだったけど
最近、めでたく両思いになれた。
「何って…おめざめの儀式?」
ぱじゃまの前がはだけられてる。
油断も隙もあったもんじゃないわ。
じきに出勤時間だと思うんだけど…。
「ねえ?」
ふいに、声の糖度が増す。
甘ったるくて、耳がじんわり溶けそうな声。
「な、なんですか…」
寝惚けた思考回路でも、危険を察知できたらしい。
体が自然と逃げ腰になる。
「その、料理長っての」
はだけた胸元へゆっくりと舌を這わせて
「やめてって…言ったよね?」
うわ。
地雷踏んでしまった…。
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