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「お先シツレイしまーす」
「はい、お疲れさん」
店長に軽く手を振られ、にこりと笑顔で返した。
「今日は料理長と一緒じゃないんだ」
……。
危ない。こけそうになった。
「な。な、な…」
尋ねられた言葉がすごい攻撃力で、頭の中をぐわんぐわんと回ってる。
ぱくぱくと、クチだけ動いて喉が乾いてくる。
いや、別に隠してるわけじゃなかったし、やましい関係でも無いんだけど
直球で聞かれるとは予想外…。
あわてふためくアタシを、さもおかしそうに声をあげて笑う。
「そんなに、笑わなくても…」
「ああ、ごめん、ごめん」
謝りながらも、耐えきれないと、ぶふ。だなんて吹き出してる。
そんな店長を無言で、バシバシと叩く。
握り締めた、ぐーで。
「た、いたいって…」
暴力反対!
言いながら、アタシのこぶしを両手で受け止める。
「でもさ」
急に、声が穏やかになる。
「変わったよね」
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