710人が本棚に入れています
本棚に追加
「…ううっ。ふえっ……」
「ホラホラ、美幸ぃ。泣かないでぇ」
あれから数週間後。
やっぱり美幸とは遊びだったみたいで、本気になってしまった彼女だけが、別れに涙を流していた。
―やっぱりね―
私はそうとしか思えなかった。
どうして、そんな事で泣くのかしら。
あなたも知ってたでしょう?彼が、そういう人だって。
なんで、自分だけが特別だなんて思えたのかしら――
私の恋愛観は、きっと周りより大人びていて…というより、冷めきっていた。
「あはは。絢香さんって面白いなぁ」
「やだぁ、亮くんったら」
廊下から、聞きたくない声がする。
「うううっ」
「美幸ぃ」
美幸は、楽しそうなその会話を聞いて泣き崩れた。
…最低な男。
まぁ、中学を卒業したら会うこともないでしょう――
.
最初のコメントを投稿しよう!