恋のはじまり

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「ううん、何でもない」 「そうか?何かあったら言えよ?」 「うん。ありが――」 ピーーッ! 拓海と話している時に、けたたましく審判の笛が鳴った。 何? そう思ってコートに視線を戻すと、山口くんがうずくまっていた。 「裕樹っ、大丈夫か!?」 「―っ」 苦しそうに顔を歪める。 「ワリィワリィ。ちょっと肘が当たっちまってさぁ」 ニヤニヤと笑いながら。 吉田先輩は山口くんを見下していた。 「てめ…!」 「亮」 今にも殴り掛かりそうな松永くんを、山口くんが制止する。 目に余る吉田先輩の行為は、バスケ部全体の雰囲気を悪くしていた。 ピリピリとした空気が、体育館を包む。 「シュート前の、ファールだから…2スローっすね?」 .
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