恋のはじまり

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シュートをしようとする選手への過剰なディフェンスは、ペナルティーとなり、フリースローが与えられる。 山口くんは、シュートをしようとした所に激しく吉田先輩にぶつかられたみたいだった。 静かに立ち上がり、ボールを受け取って規定の位置に向かう。 「いいっスか?」 「…っ、2スロー!」 呆気に取られていた審判も、山口くんの言葉に我に返って笛を鳴らす。 …綺麗… 小・中とバスケをしていた私が見とれてしまうくらい。 しなやかに放たれたボールは、迷わずゴールネットに吸い込まれて行った。 そのまま続けて2本目のシュートも決める。 「…裕樹は大丈夫そうだな」 隣で拓海が呟く。 そっか。 2人は中学からの付き合いなんだ。 「吉田先輩にまた何かされたらすぐ言えよ」 私の頭をくしゃっと撫でて、拓海はコートに戻って行った。 .
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