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私が、こんな格好だから…?
乱暴に引きちぎられたブラウスは、所々ボタンが無くなっていてヨレヨレになっている。
私は肩にかけられたジャージをぎゅっと握った。
「暫く、我慢して下さい」
そう先程の優しい声がまた聞こえたかと思うと、私の体はふわりと宙に浮いた。
「え!?え!?」
なになに!?
慌てて俯いていた顔を上げて回りを見渡す。
私は、この人にお姫様だっこされていた。
「保健室、行きましょう」
目が合うと、ふんわりと微笑んで歩き始めた。
「―っ!待って。自分で、歩けるから!」
そう言うと私を下ろしてくれた。
「あの……えと…ありがとう。さっきは気が動転してて」
なんとか笑顔を取り繕って、ジャージを握り締める。
やだ…震えが止まらない…!
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