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「…あの…山口、くんだよね?」
「あ、はい」
私はこの人を知っていた。
私がマネージャーをしているバスケ部は、県内でも有数の強豪高。
部員もたくさんいる。
でも。先月入部してきたたくさんの新入部員の中でも…山口裕樹(ゆうき)くんは目立っていた。
「よく…吉田…先輩に、色々されてるから…」
「…ああ。確かに、最近さらに目立ちますね」
そんなこと、どうでもいいかのように不敵な笑みを浮かべる。
さっきまで、私と居た…吉田先輩は。バスケが上手い山口くんが気に入らないのか事あるごとに嫌がらせをしていた。
でも、どんなに吉田先輩が扱こうと。山口くんは絶対に負けない。
だから、知っていた。
「…負けないでね!私、山口くんを応援してるから」
「マネージャーこそ、気をつけて下さいよ。アイツのしつこさはハンパないっスから」
「あはは!先輩に対してその言い方!山口くんって、ハッキリしてるね」
なんだか、山口くんと話してると心が軽くなる―――
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