118人が本棚に入れています
本棚に追加
相談
コンコン♪
授業が終わり、それぞれの生徒達が自由に行動する放課後、私はいつもの通り部室にやってきて魔術書を読んでいた時、ドアをノックする音が聞こえてきた。
『はい、開いてますよ』
ガラガラ…
私の返事を聞いて、ノックした人物はドアを開け、何とも微妙な表情で部室を眺め回した後に、私へと視線を向ける。
『黒澤、すまないんだけどさ、ちょっと相談に乗ってもらえないかな?』
そう言ってきたのは、私と同じクラスメートの牧村千恵子さん、女性ながらやや背は高く、少しボーイッシュな感じがする子です、…彼女がオカルト研究部に来て相談だなんて、珍しい事もあるものだわ。
『構わないわ、じゃあ、この椅子にでも座って』
私が部室に置いてある、幾つかのパイプ椅子を引っ張り出し、牧村千恵子さんに座るよう進める。
『ありがと』
ドスッと少し乱暴に座ると、小さく溜め息をついた。
『それで、私に相談とは?』
『ああ…実はさ、あたしが住んでる団地で、ちょっと変な事が起きてるんだ』
『と、言うと?』
『年に何回かの割合で、必ず住人が倒れるんだけど、そのまま原因不明の昏睡状態になって目覚めなくなるんだ、それに時々、奇妙な事も起きるし』
『原因不明の昏睡状態…に奇妙な事ね、それらに何らかの怪奇現象が絡んでいると、思っている訳ね?』
私の言葉に牧村さんは頷いた。
『思うも何も、現にあたしの住んでる部屋で…急に変な異臭がしたり、軋むような物音が響いたり、時にはドアが勝手に開くとか、気持ち悪い事が頻繁にあって、気味が悪いんだよ』
『なるほど…』
もし牧村さんの聞いた話が事実なら、怪奇現象の可能性は高い、異臭やラップ音、それに騒霊…それらは浮遊している悪霊が引き起こす現象としては、特に心霊知識がない人でも、小耳に挟む程度には聞いた事もあるはず。
『そんなんで、噂に聞く黒澤なら、何とか出きるんじゃないかと思って、今日は相談に来たんだ』
『分かったわ、私の手に負えるかは実際に行って見てみないと、何とも言えないけど…次の日曜日が開いてるし、その日に調べに行って構わないかしら?』
『えっ!来てくれるの?そりゃ助かるよ~、じゃあ…〇〇丁目のコンビニは分かる?』
『ええ、分かるわ』
『なら、日曜日にそのコンビニで待ち合わせて、あたしの住んでる団地まで案内するよ』
こうしてオカルト研究所に、初の依頼が舞い込んできたのであった。
最初のコメントを投稿しよう!