鍛錬と作成…

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『うん、私も上手くいったと思うわ』 霧島さん自身も、わりと上手くいって上機嫌のようだ、このまま指輪の作成に成功すればよいのだけれど…。 そうして40分くらい熱風を浴びせると、乾燥したクレイシルバーが肌色っぽくなる、こうなると後には引けない、成功して指輪となるか、失敗して砕け散ってしまうかの二者択一だ。 『霧島さん、これからが本番だよ、力加減を間違えたら一撃で砕けるくらい脆いから、十分に気をつけてね』 『わ、分かったわ…』 小さく頷くと、先ほどと同じく真剣な表情になり、木芯棒から紙ごとクレイシルバーを取り外す、そして紙を内側に丸めながら、クレイシルバーから紙を剥離してゆく。 この時、無理に紙を取ろうとして力加減を間違えると危ない、指輪の厚さにもよるが、やや薄い場合は無情なまでに割れやすいので、慎重に進めていく必要がある、霧島さんの指輪(未完成)は、シンプルなリングに加えて、厚みも多少はあるので、よほど雑な作業をしなければ、壊れたりはしないだろう、それでも油断は出来ないが… 『…………ふぅ』 無事に紙とクレイシルバーを分けるのに成功した霧島さんは、思わず息を吐く、見ている俺の方も緊張感が伝わってきて、その作業を思わず凝視してしまっていた。
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