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(幸い、それらしいものは見かけないわね)
あくまでも団地へ向かう途中で、サッと見た程度なので断定はできないけれど…
そうこうして歩いている内に、問題の団地へ到着した。
『黒澤、どうかな?何か感じる?』
牧村さんが、立ち並ぶ団地の敷地内に入る前に、私に振り返ってそう問いてきた、それに応じて私も意識を集中して、団地を見てみると…
『良くないわね』
敷地内はもちろん、団地に濁った気が集まっているように見える、私の霊視だと、黒く澱んだ気が立ち並ぶ団地を真っ直ぐに貫くような感じ…かな。
『やっぱり、幽霊が居るのですかね?』
『チラホラと居るわよ』
後ろに居た綾崎さんの問いに答える。
『そいつ等が原因なのかい?』
私は少し考えてから、首を横に振った。
『幽霊の仕業じゃあないっての?』
『牧村さんの部屋で起きる怪異は、そうでしょうけど、根本的な解決にはならないわ、これだけ澱んだ気があると、集まってきた霊だけが問題ではないと思うわ』
『それじゃあ、なんなんですか?』
『土地かしら…でも、最近になって怪異が頻発するようになったと言うのだから、急に気の流れがおかしくなった…と言う事になるわ』
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