狂気の言葉も妄りに

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 目を閉じて暗闇の静寂へ耳を澄ます。  無音が部屋を飛び交い眠りを邪魔する。  そこで音へ向けられた意識を、脳髄の思考へ変える。  溢れてくるのはくだらない妄想、思念ばかり。  そのうち目蓋に絵を描き始める。  例えば昨日は左から右へ延々と二本の線が流れる夢想絵を描いた。  それがいつしか夢への鍵となり、気が付いたら夢の中にいた。  夢の中では二本の線が具現化、立体化されていた。  それを見て“ああ、夢だ”と気付いた。  だがそれも束の間、夢だと気付いたら二本の線は肉を失い、ただの絵に戻り、また目覚めていた。  そんな夢を見た。
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