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そいつは頭を向こう側に向けて眠っていた。
女子だ。
断っておくと、うちの学校はごく普通の公立高校である。
男子はズボン、女子はスカートの着用を義務付けられている。
つまり、この位置からだと
―――丸見えなんですけど…。
俺はできるだけ見ないように顔を反らしながら、そいつを起こしに行った。
そいつが二年生であることは上履きでわかった。
この学校は一年生が青、二年生が黄色、我々三年生が赤色の上履きと決まっているのだ。
顔が見える位置まで来た。
…寝顔は結構可愛い。でも見かけない顔だった。
転入生か何かか?
俺はそう思いながら、そいつの肩を揺すった。
「お~い、起きろ~」
「……ふにゃ…?……あんた、誰?」
そいつは体を起こして、寝ぼけ眼でこちらを見てくる。
半身を起こしているので、髪が風で乱れて、大変なことになっていた。
「もしかして、痴漢!?キャー!いくら私がかわいいからってそんな…」
「少し落ち着け、バカ」
俺は軽くげんこつを入れた
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