~プロローグ~

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 何でこんなことになっちゃったんだろう。不思議でならない。たしかに、昨日はちょっと疲れてたし、自分の行動に疑問を感じ、嫌になってきたところだった。  だからって、何もチャット相手とリアルで会う約束など、しなくてもよかったじゃないか、ぼく。ぼくって、ほんとうばかだ。よく考えないで行動するからこんな羽目になる。  たんにすっぽかせばいいだけの話なのだけれど、ちょっとそのチャット相手の容姿がひどく気になったぼくは、部活の帰りに集合場所になったところの近くまで足を運んでいるのだった。  休日である今日は、そこそこに人でごったかえしており、目的の相手を見つけるのに苦労するかもしれないと思ったが、そんなことはなく、ぼくはひと目で見つけてしまった。  事前の打ち合わせで、『彼女』はサイドテールに、黒のタートルネック、赤を基調としたチェックのミニスカートに、黒のニーソという装いにすると言っていた。  そして、それだけだとあれかもしれないからと銀色の口紅も塗っておくと言っていた。  なるほどなるほど、まさにそのとおりの恰好を、彼女はしていた。まさか本当に女だったとは……と驚きつつ、彼女の顔をよく見たぼくはさらにたまげた。
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