プロローグ

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艶夜をはじめ、力あるものは妖と必死に戦った。 せめてユエが戻ってくるまで村人を守ろうと。 一人、また一人と仲間が倒れていく中で艶夜はユエが戻ってくるまで戦い抜いた。   ユエが妖達を率いている者の正体を突き止め、社に戻ってきた時に最悪の事態が起きてしまう。   ユエが社の扉を開け放ち真っ先に入ってきた光景は、艶夜が妖に貫かれている姿だった。   艶夜を貫いたのはこの争いの首謀者…            鵺(ヌエ)だった。   力なくその場に崩れ落ちる艶夜。 その体をユエは抱きかかえた。    ユエの腕に抱かれ、艶は息を引き取った。 最後に一言 「愛していた」 そうユエに伝えて。   「俺も愛していた」 その言葉を艶夜に伝えることはできなかった。   ユエが戻ってきたことにより妖は一掃された。 人と妖、互いに莫大な被害を被った。 しかしユエが倒した妖の屍の中に鵺の姿はなかった。   ユエが艶夜に気を取られていた一瞬のうちに逃げられてしまったのだ。 艶夜の仇を討つことは叶わなかった。  
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