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自分の判断に間違いがなかったことにサイスは胸を撫で下ろした。だが、オユサがサイスに命じたい本題はここからだった。
「気のせいではないと思うけどね、随分と訓練がやりにくそうだったように感じたけれど、何か心当たりはあるかい?」
的確な指摘に、目をぎょっとさせた。オユサはアゼルド程では無いにしても、長年の経験から人を見る目があると話に聞いていた。その噂をここで目の当たりにし、サイスは胸の内を正直に答えることにした。
「私は、総監の築かれた救護班に羨望を持って入隊しました。救護班であれ、基礎体力向上の訓練を課すのは、私も賛同です。ただ、私としては…それでは物足りなく感じています」
あくまで隊の意向に従う程である事は示しながらも、物言いをしてしまうことには躊躇いがあった。だが、オユサはそれを非難しようとしない。
「まだまだ動ける、という事かい?」
「そういう事とは異なります。訓練は常に自分の限界まで行うものと思っております。私は…戦いたいのです」
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