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そうとは言えないとは、また曖昧な答えだ。ハッキリしてくれ。死ぬなら死ぬ、生き残るなら生き残ると言ってくれた方が引っかかりがない。それにしても、段々わからなくなってきた。て言うか、スケールが大きすぎる。漠然とした予言をされても、実感が湧かないし、処理のしようがない。
「どういう事だ?」
「確かにお前はこの世界からは消えるが、お前の生命反応はまだ消えてはおらぬ。即ち、お前はどこかの世界で生き延びてるって事じゃのう」
下らない。実に下らない。タイムスリップじゃなくてプレイススリップとでも言いたいのか。そんな事が現実に起こるわけがない。ふざけてるのか。今までの予言とは、種類が違いすぎる。普段は、もっと日常茶飯事な内容だった筈だ。こんなファンタジックな予言があるわけがない。かと言って、ジジィがこの手法でおふざけをするのも考えられない。第一、予言を冗談として取られるのは本来は嫌っている。だから、余計に何がしたいのかが理解できなかった。
「ジジィ、悪いけどこれ以上は聞くつもりはねぇよ」
これ以上は、何も具体化されないと判断して、ジジィに背を向けて、入り口に向かって歩いていった。
「本当に仕方のない子じゃのう。だが、肝に命じておけ。これが、お前への最後の予言になるかもしれないからのう」
「へいへい」
振り向く事なく、片手をヒラヒラさせて、だらしなく返事した。世界から消えるような有り得ない話があるわけがない。こんな事はマンガやゲームの世界だけで十分だ。現実では、現実的な事が起きていれば十分だ。ファンタジーは、ファンタジーの世界にあるから面白い。現実化すれば、つまらない余興だ。
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