奮い立つ者達

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腑に落ちないが、縦社会では部隊長の命令は絶対である。サイスは自分の理念を仕舞い込み、従順に訓練に勤しんだ。 攻撃をする素振りは無くなっても、サイスの身体能力は女性の平均値を大きく上回るものだった。体力に自信があった彼女は、体力で他の隊員に負けたくない負けん気があった。滝のような汗を流した訓練は、彼女に大きな存在感を与えた。あの隊員はどこか違う、と目を見張る存在となっていった。 加えて、看護師の母親の影響もあり、医療の知識や応急処置の手並みも中々のものだった。素質があり、適切な処置ができていた。救護班は比較的穏やかな気質の者が集まる特徴のせいか、サイスへの妬みを持つ者はいたにしても、陰湿な真似を仕向ける者はおらず、どちらかと言うと羨望の眼差しを向ける者が多かった。 そんな彼女に、入隊当初から彼女期待をしていたオユサからの特訓が課せられた。
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