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オユサ直々の訓練には、サイスも心を躍らせた。厳しいと噂の訓練に慄く者もいたが、サイスはそうではなかった。総監による訓練は、こなす意味がこれまで以上に大きい。出来る限り多くの事を吸収したい。やる気に満ちたサイスはこれまで以上に張り切った動きを見せた。
培ったスタミナは存分に発揮され、回避能力も卓越していた。相手の攻撃を見極める洞察力も向上した。
だが、部隊長は顔を顰めた。昂った彼女の動きが、普段の訓練とは異なっていた。と言うより、元に戻っていた。地が出たのだ。ひたすら丁寧に回避をするのではなく、攻撃的な一面が見えた。
あくまで回避と防衛の為ではあるが、足を引っ掛けたり、敵を突き飛ばそうとしたりと、部隊長が黙らない動きだった。
しばらくして、オユサから止めの合図が出た。新米隊員達はこれまで訓練を積んできたが、途端に倒れる。部隊長以上に長い時間の訓練だったのだ。サイスも流石に腰を落とした。ここで、部隊長が咎めようと前に出る。
だが、オユサはその部隊長をおよしと止める。
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