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オユサがサイスの元へ歩み寄る。オユサの直接指導の証だ。総監の目に留まった当の本人は、まだ体力が消耗しているものの、直ぐ様立ち上がり、姿勢を正す。オユサは、お座りと体力の回復を促す。
オユサはサイスの体を一瞥し、なるほど、と溢した。
「お名前は?」
「サイス・ミスティと申します」
可愛い名前だこと、と微笑み、しっかり動けるようになったら声を掛けるように指示を出す。総監の訓練が受けられる、とサイスは胸を躍らせた。万全の状態で臨まなければ失礼に値する、とサイスは呼吸をしっかりと落ち着かせた。
しっかりと休息が取れたのを確認すると、サイスはオユサの所へ駆けて行った。やってきたサイスを再びオユサは一瞥する。
「ここは合格だね」
突然の判定に、サイスは首を傾げた。
「これまで多くの隊員を見てきたけどね、あなたは疲労回復が早いね。きちんと回復し切っているのはわかっているよ。後は、私の指示に適切に従っているね。隊長を待たせまいと急いで来る者もいるが、私に呼ばれた理由もきちんと理解しているね。万全の状態で訓練を受けること、それを受ける姿勢は合格さ」
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