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これらのサイスの言い分には、オユサがいなければ部隊長はサイスに殴り掛かっていただろう。だが、サイスの言葉を真摯に受け止め、それでいて機嫌が変わらず、寧ろ何処か嬉々としているような姿に、他の隊員達は何も言えなかった。
待っていた。回避するだけの救護班から脱却する牽引役が来た。前線で救護をする人間も強いに越した事は無い。
これまでの慣習を覆すのは、例えそれが総監の意向であろうとも、隊員達が賛同しなければ困難だ。これからは攻撃の訓練も取り入れるとしてしまえば、跳ね馬集団の回避力を信じてきた隊員達は反発する。組織を変える事に反発は免れず、無理矢理な改革はリスクが大きい。
だが、今が機なのだ。サイスという貴重な人材が入ってきたのだから、チャンスは逃せない。オユサは、救護班の在り方に少しばかり変化を加えようと、この日から他の上層部を交えて施しを始めるのだった。
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