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戦闘救護隊員なる者が存在すると同時に、戦闘訓練を受けない救護隊員を、オユサは「専任救護隊員」、俗に言う「専救」と名付けた。闘救以上に救護のスキルに優れた隊員の集まる部隊だ。
隊員は専救か闘救か入隊後に選択ができるが、光の魔力を持つ者は必ず専救に配属される。キュラは光の魔力の片鱗を見せており、オユサから専救の配属を命じられた。闘救の存在は認めてはいるが、配属に関心のなかったキュラには丁度良かった。
理知的で聡明な彼女は、目立つ業績が無かったにも関わらず、多くの隊員に知られる存在であった。初めは、救護班きっての美貌という理由ではあったが、その賢さと物腰の柔らかさも兼ね備えて隊員の中では噂になった存在だ。確かな知識とブレない判断力も備え、彼女もオユサお墨付きの隊員となった。
オユサがキュラを統括隊長補佐官に任命したのは、彼女の人望や実力もさる事ながら、大きな理由は彼女が専救であることだった。上層部の両名が闘救では、救護班としてのバランスが良くない。更には、専救の隊員達からは闘救の贔屓を誤解される可能性もあり、何か闘救に不都合な事が生じれば、闘救である上層部の画策を憶測させかねないからだ。幸いにも、キュラはサイスと並ぶに相応しい人物であり、大きな異論もなくDOR創設以来で初の上層部全員が女性という前例も成し遂げた。
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