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キュラとサイスは、一般隊員の頃は互いに存在は認知していたものの、せいぜい顔見知り程度の仲だった。オユサの唯一の不安は、二人の相性だった。正反対の二人が同じ上層部としてどう相互作用するのかが未知数であった。サイスのような人物がかつて救護班に存在していなかった故に、オユサにも経験がない。仲違いや価値観の違いにより、隊に悪影響を及ぼさないように、初めは慎重であった。
だが、サイスもキュラも組織というものを理解しており、仲睦まじい程まではいかないものの、互いに気遣いあっていた。キュラがサイスを補佐する役目であり、キュラはサイスの考えることを先読みして動いていた。逆にサイスは、キュラに自分の思惑を読み取りやすくするよう、できるだけ言葉を多く交わし、自分の考え方や癖などを事前にサイスに明確に伝えていた。
互いが互いを気遣い合う姿を見て、オユサはこの二人を上層部に任命した自分の考えは間違いではなかったと確信した。戦闘班である後の上層部のジュリアス兄妹のような血の繋がったきょうだいならではの連携とまではいかないが、意思疎通を大切にした二人は、隊員としてのスタイルや内面が大きく異なっていても、救護班を良き組織として導いていった。
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