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「それより、何か用か?」
センリの顔を覗いた。オレが暇なときにここに来ることは、島中の誰もが知っている。いつもの事だから、と、声を掛けられる事も少ない。だから、センリがここまで来たのは、オレに用がある事しか思えない。例え、暇潰しが理由であってもだ。
「そうそう。何か、千寿谷の爺さんがお前を呼んでたよ」
「あのジジィが呼ぶなんて珍しいな。また辺鄙な予言でもしたんだろ?」
この島の預言者である千寿谷のジジィは、予知夢を見ては島民に助言をする。その予知夢から出す予言を外したことがないらしい。
「辺鄙って言うなって。予言に関しちゃ百発百中なんだからさ。お前だって、今まで受けた予言は当たってただろ?」
「石に躓いて転ぶとか、忘れ物をするとかがか?あんなの、誰だって予想できるだろうが」
こんな下らない予言ばかりする為に、オレは千寿谷のジジィの予言を一度も信じた事がない。そもそも予言というものがおかしいものだ。夢なんて、その日の記憶の整理行動だと学校で習った。自分の混ぜこぜになった記憶を勝手に予言と称されても困る。
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