幻の存在

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「相変わらず鋭い子じゃ。まぁ、この場合、寿命や死期が関係ないとは言い難いの…」 ゆっくりと深刻そうな雰囲気を出しているのに、躊躇わずにサラッと言う。緊張感を感じるのか感じないのかわからない喋り方だ。寿命や死期に関するようなので、冷静に続きを聞いてやろう。 「じゃあ、具体的に聞いてやろうか?」 「心して聞くがよい」 静かに、本当に静かにそう言った。 しばらく沈黙が流れた。オレもセンリも、何も話さなかった。心臓の鼓動は、あまり聞こえなかった。代わりに、3人の呼吸音だけがよく聞こえた。しかし、間が長い。じれったいな。イライラする。せっかちではないが、まだかまだかと待つこの時間は、どういう場面でも好きになれない。 だが、見ている限りジジィの表情に曇りがある。言いにくいらしい。寿命や死期が関係あるかもしれないから無理はないが、先程のようにさらりと言えないものか。今までは勢い任せだったのか。 しかし、こうも待たされるのは困る。早く言え、と言葉を投げてみる。センリに、おいシド、と口を挟まれるも、言葉遣いなど知ったことではない。ジジィが口を動かしたのは、10秒程経ってからだった。 「お前は今から3日後。この世界から姿を消すことになる」
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