壊れゆく日常

3/11
前へ
/216ページ
次へ
「ごちそうさまでした!」 テレビの音より大きな2人の声が重なる。 そして、俺たちはいつものように食器を片付け始めた。 「優奈、確か2組だったよな?」 優奈は今年の4月、といっても今も4月なのだが、近くの中学校に入学した。そして、俺は今年高校2年だ。 「うん。あー早くクラブ入りたいなぁ。もっと友だちも作りたいし。……あ、そういえばお兄ちゃーん、彼女とかできたのー?」 ニヤニヤと笑う優奈に、否定し、仕返しといった様で優奈こそ彼氏は出来たのかと聞いてみた。 「なんだぁ、いないのかぁ。ん、私? いないに決まってるじゃーん。じゃあ、片付けも終わったし、お風呂入ってくるね」 優奈に生返事をしつつ、俺は妹に彼氏がいなくて内心ほっとしていた。 さて、優奈が風呂から出てくるまでに手紙でも読んでみるか。 俺はイスに座り、ポケットから手紙をとりだし、封を開けた。
/216ページ

最初のコメントを投稿しよう!

270人が本棚に入れています
本棚に追加