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「ねぇ…あんたも、もうそろそろ良い歳なんだから、意地張ってないで、お見合いの1つしなさいよ。あんたは可愛いんだから」
またか。
毎度毎度諦めずにお見合いの話を持ってくる母の言葉は聞き飽きた。
「もう、いいよ。私は結婚する気はないし、今は今で幸せだから…お母さんには、分からないかも知れないけど…」
さっさと済ませて電話を切った。
こんなOLに寄り付く男もいるが、正直家庭目当てでうんざりする。
…今はどうでも良い。
お母さん、あなたの娘はろくでなしの娘だよ。
それでも結婚なら弟に任せるよ。
あの子なら家庭も出来るだろう。
頑張れ弟。
私は結婚なんかする気は無い。
約束があるから。
大切な…約束が。
きっと、いつか神様が叶えてくれると信じて。
携帯の着信音が鳴る。
高校からの友人である。
大切な、友人である。
「あ、叶(かなえ)?よかった~。何度も通話中だったからさ」
「…ごめん。キャッチ入ってたのは知ってる。
お母さんから逃げられなくて」
「相変わらずね~…
…まだあの時の約束を引きずってるの?」
「まさか。そんなのじゃなくて、結婚に疎いだけ」
「そう?…あ、そうそう。今度行くでしょう?」
「うん…早いなぁ…もう…命日か」
「うん…そうだね」
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