廃墟 未完成

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 僕は一人で町外れにある建物を訪れていた。この建物というのが、学校での噂で少々流れていたのを思い出す。その噂というのも、現実味のないモノだった。 『心霊現象が起きる』 『昔あそこで人が自殺した』  などなど。僕にとっては、そんなものは所詮、噂でしかないと決め付けていた。しかし、今日は友人との都合も合わず、暇を持て余してしまった。どこに行くか決めずにフラフラと歩いていたら、こんな所に来てしまったわけだ。  どうせなら中に入ろう。幽霊などが出なくても、面白い品物は転がっているかもしれない。そんな興味を暇から抜け出すために、心の中に躍らせた。  外見は正直に言い表せば、家と言えるものではない。噂が立つのも「まあ、仕方ないかな?」と思える。庭らしき場所には雑草が生えわたり、土色を緑色に染めている。長い草は、自分の腰の部分まで育っているモノもあった。家には、ツタがそれを締め上げるかのように、育っている。長い間、整備されていない庭や土地ではこうなるものなんだろう。  僕は、理科の授業で微生物を顕微鏡で観察した時のように淡々と廃屋を見ていた。木造を基本とした造りであるがためか、壁から板ははずれ、中の柱が露出している。  庭から玄関に移動してみると、案の定扉は片方無くなっており、家の中へガラスを撒き散らしながら倒れ込んでいた。  そのガラスを気にせず僕は中へと進んでいった。人の家だからといって靴を脱ぐつもりは最初から無かった。扉の撒き散らしたガラスがパキパキと音を鳴らして、僕の耳を刺激する。これから何が起こるか、その考えを中心に僕は興奮していた。  玄関からあがり、廊下に出る。廊下には、水が溜まっていた。先日の雨が原因で溜まっているのだろう。そう言えば、屋根も瓦が外れていたところが幾つもあった。日本の建築物らしく障子らしき物が目の前に。穴はボロボロに開いていて、見るも無残な惨状になっていた。
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