第壱話

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「ハァハァ…」 「あっコラ坊主!!」 「すみません!!」 場所は新撰組の屯所がある壬生。 誠が元の時代に帰って早一年がたとうとしていた。 しかし一年たっていてもその年の6月には池田屋事件があった。 こっちの時代でもまた時間が戻っていたのだ。 そんな新撰組の屯所に、一人の少年がずかずかと入り込んでいた。 「騒がしいぞ!何事だ!!」 相変わらず怒鳴り込むのは新撰組副長、土方歳三であった。 襖を開けた所には少し背が伸びて大人びた誠四郎と見知らぬ少年が取っ組み合いをしている所であった。 「すみません副長…この子が言うこと聞かなくて!」 「うるさい!!この子じゃない!あんたと年変わらない」 「……ガキ…要件は何だ」 「副長…」 土方の台詞に二人は固まりお互いの手が離れた。 「…市村鉄之助……19歳、新撰組隊士になりたくてきました!!」 敬語を使い土方の瞳をじっと見つめて訴えるように言葉を放った。 「……ふんマセガキ、何が19だ…15の間違いだろ……まぁいい」 「えっ?」 土方は市村の瞳を見て誰かを思い浮かんでいた。 誠…… 「アイツに免じて許可してやる……しかし!俺の小姓だ」 「ふっ副長!!」 「大丈夫だ…俺に任せろ」 市村は嬉しさのあまり固まっていた。 「……このガキ捨ててこい」 「すみませんすみません!!!」 土方の気紛れで入る事になった市村鉄之助は笑顔がまさに誠そっくりであった。
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