第壱話

5/12
前へ
/38ページ
次へ
その夜。 土方は窓の外を見ていた。 月が再び紅く染まっているのだ。 そしてあの日の事を思い出していた。 そう、誠が帰った池田屋事件の夜であった。 「この月は……いったい」 そう思いつつもあまりの眠たさにあくびをして布団に潜った。 アイタイ…? カノジョニ…アイタイ…? 真っ暗な所に土方はたたされていた。 至る所から聞き覚えのある声が響いた。 「なんだ…ここ、っ!俺以外に何人かいるな……暗くて見えねぇ」 すると目の前がいきなり真っ赤に光った。色は違うがこの光には懐かしいものがあった。 「あん時の!!」 池田屋事件の誠を連れてった光だった。 アワセテヤル…… 「会わせる…!アイツ…誠に会えるのか!?」 光は急に激しさを増して消えた、それと同時に目は覚めた。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

565人が本棚に入れています
本棚に追加