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闘いで負傷した腕を抱えながら、山を降りる。
かなり出血が酷い。
「おやおや。兄弟殺し、同族殺しのレオくん。今度は人間を噛み殺しに行くのかな?」
そう言ってきたのは、俺のかつての仲間集団のボス的存在だったルウ。
「うるせぇよ。俺には俺なりの理由があるの。」
「出血が酷いねぇ。そのままじゃ出血多量によるショック死で死亡かな?」
「…うるせぇ。」
そう言って、ルウは俺の側に来て耳打ちする。
「同族殺しの罪が重いってのは、分かるよな?」
ニヤリと笑った。
「ま、お前は幼なじみだし、あいつらの事を俺もあまり心良く思ってないから見逃してやるよ。ただし、もう二度と帰ってくるな。」
そう言って、俺の首に噛みついた。
「あぐっ…」
「これは俺からの警告だ。もうお前には故郷は無い。覚えとけ。」
そう吐き捨て、ルウは森の奥へと歩いていった。
「…あの…キザ野郎…」
血を垂らしながら俺は山を降りていく。
満月に祈りながら。
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