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思ったよりも出血が激しい。意識が薄れていく気配がしたので少し休む事にした。
「うぅ…」
木によりかかる。すると、小さなまだ子供の狼が近づいてきた。
「お兄ちゃん、どうしたの?」
「…うるせぇ。近寄るなよ。」
「あ、血ぃ出てる!」
そう言って子供の狼は俺の傷口を舐めてきた。
「止めろ。俺は仲間を喰い殺したんだ。お前も喰い殺すぞ。」
俺がそう脅しても、子供の狼は俺の傷口を舐めている。
「おい!」
すると、子狼は純粋な目で俺を見つめてきた。
「怪我は早く治さなきゃ!ね?」
子狼の勢いに負けて、俺は子狼のなすがままにされる事になった。
しばらくして。
「よしっ。血ぃ止まったよ!」
「あ…あぁ…。なぁ。」
「ん?」
俺はさっきから疑問に思っていた事を口にした。
「何で見ず知らずの狼にここまでするんだ?下手したら喰い殺されるかもしれないんだぞ?」
「だって、困っている人は助けましょうってお母さんに言われたから!」
バカバカしい。と口にしようとして止めた。
こいつはまだ子供なんだ。
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