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一薙ぎで、三回分の斬撃を相手に与える。そんな超スピードのなせる技が、三斬である。
はずなのに。シエルはスヴァルスのスピードについていけなかった。
三斬を仕掛けた直後に、スヴァルスも同じように動いた。
それ追おうとシエルが思った瞬間、スヴァルスの姿を見失った。
早すぎて、目で追いきれなかった。シエルはすぐさま目を閉じ余計な情報を遮断。
そして音や感覚のみでスヴァルスの場所を確定した。
確定したが、スヴァルスのスピードはさらに上がった。
シエルはそれを確定出来ず、スヴァルスの一撃をなすすべなく受けた、倒れた。
「かはっ………! ゴホッ、ゴホッゴホッ!!」
起き上がろうとしながらシエルは血を吐き、焦点の合わなくなった目をスヴァルスに向ける。
「もう限界か? 早いな」
「く……そっ。(なんだか、体の全機能が停止してるみたいだ…………)」
シエルは腕で体を支えるのも限界になり、倒れ込む。
「トドメといこう………。これで、散っていった同志たちにも顔向けが出来るというもの」
「操ってたくせに、よく言うよ………」
「黙れ、死ねぇえい!!!!」
スヴァルスは拳を振り降ろす。だが、やはりその拳がシエルに届くことはなかった。
「二度目ねェ。シエルの拘束は、とっくに解けてるのよォ?」
アニエルは、目に見えない速さで放たれたスヴァルスの拳を、いとも簡単に掴んでいた。
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