天使を越えたスヴァルス一派

16/23
前へ
/375ページ
次へ
「後は、お前だけだな」 「シェルウィ。何か勘違いをしていないか?」 「何?」 「俺の部下は、まさしく操り人形なんだよッ!!」 スヴァルス一派の死体が、ゆっくりと起き上がった。当然、死体の意志ではない。 「なんてヤツ………。解けろ、操りの鎖、『鎖解』」 バタバタと倒れていくスヴァルス一派。操るための魔法がシエルによって解かれたのだ。 「まぁ、そうだろうな。それは分かっていたよ」 「その自信は何?」 「私はな、貴様を越えたのだよ」 シエルはスヴァルスを睨む。スヴァルスの魔力は、シエルのそれを下回っていた。 「どこがだよ?」 「悪魔化にはな、意外な盲点があるのだよ。人の姿でなければ、無限の魔力が得られる」 「化け物になるってこと?」 「その通りだッ!!!!」 スヴァルスの体が巨大化していく。すでに人の形はどこにもなかった。 「そこまでして私を殺したい理由って………?」 「家族、友人、故郷………。私は貴様に、全てを奪われた。それだけだ」 「そう。なら、貴方の命も奪ってあげるよ!!」 スヴァルスだったものは、吼えた。世界中に響くようなその叫びに、シエルは思わず耳をふさぐ。 それを好機と、スヴァルスだったものが拳らしきものを振り降ろした。
/375ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1778人が本棚に入れています
本棚に追加