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「後は、お前だけだな」
「シェルウィ。何か勘違いをしていないか?」
「何?」
「俺の部下は、まさしく操り人形なんだよッ!!」
スヴァルス一派の死体が、ゆっくりと起き上がった。当然、死体の意志ではない。
「なんてヤツ………。解けろ、操りの鎖、『鎖解』」
バタバタと倒れていくスヴァルス一派。操るための魔法がシエルによって解かれたのだ。
「まぁ、そうだろうな。それは分かっていたよ」
「その自信は何?」
「私はな、貴様を越えたのだよ」
シエルはスヴァルスを睨む。スヴァルスの魔力は、シエルのそれを下回っていた。
「どこがだよ?」
「悪魔化にはな、意外な盲点があるのだよ。人の姿でなければ、無限の魔力が得られる」
「化け物になるってこと?」
「その通りだッ!!!!」
スヴァルスの体が巨大化していく。すでに人の形はどこにもなかった。
「そこまでして私を殺したい理由って………?」
「家族、友人、故郷………。私は貴様に、全てを奪われた。それだけだ」
「そう。なら、貴方の命も奪ってあげるよ!!」
スヴァルスだったものは、吼えた。世界中に響くようなその叫びに、シエルは思わず耳をふさぐ。
それを好機と、スヴァルスだったものが拳らしきものを振り降ろした。
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