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ここでの主食はパンで、まるで指揮棒をふるうようにして、ふわりふわりと浮かぶパンにジャムをぬる。
一時、“他の人間”が彼らにどうして魔法を使えるのか、と尋ねることがあった。
答えは決まって“わからない”。
普段何気なく何かを見たり聞いたりすることに意識するのか、と聞き返されたそうだ。
「黒髪!」
屋外から声が聞こえた。
黒髪というのは少年の呼び名。
この世界には特に名前をつける習慣がなく、強制もされない。
勿論、名前を持つ者もいるが、言霊が人を、端的には魔力を制限するという考えが強いため、そう多くはない。
だからこうして、見た目などの特徴を呼び合うことが多いのだ。
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