lost

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おばさんが亡くなって1カ月。 その期間、彼女は仕事を休み彼方此方を飛び回っていた。 母子家庭だった 彼女とその母親。 おばさんは 『私が死んだら 骨は海に撒いて』 と言っていたらしい。 恵理子にそんな事が出来る筈もなく、おばさんの遺骨は彼女の産まれた土地であり恵理子の祖父であり母親の父親、姉、そして祖母も入るであろう東北の小さな町の墓地に葬られた。 家族がみんな一緒。 父親なんて知らない。 私も死んだら母さんやばぁちゃんと同じ墓に眠りたい。 それが彼女の願いになった。 彼女にとって母親は心の繋ぎであった。 母一人娘一人。 ぶつかり合いながらもお互いを支えあって生きていた親子。 何よりも彼女の宝であった母の存在がこの世から消えてしまった時に、 彼女の瞳から涙と一緒に僅かに残っていた煌めきが流れ落ちてしまった。 異性には持たない。 持てない愛情は 母親が彼女のすべてだったからなのか。 僕には解らない。 『ちょっと疲れちゃったよ』 その言葉が彼女の唇からこぼれ落ちた。 彼女はそれから笑わなくなり 僕を、 人を避けるようになった。
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