約束

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約束

彼女の母親が亡くなる2ヶ月前。 恵理子と付き合い始めてもう直ぐ4年になる頃 恵理子、恵理子の母親と3人で食事をした事があった。 彼女が席を外した数分の会話。 「カイ君。きっと貴方には迷惑かけてしまう事になる。ごめんなさいね。 先に謝らせて頂戴。」 彼女の母は 末期癌だった。 「いきなりなんです?www」 「貴方が本当に恵理子を大切にしてくれてるのは 解るゎ。 でも 貴方にはあの子を幸せには出来ない。」 「僕も そう思ってます。 でも 彼女が僕を頼ってくれる間は 彼女を支えていくつもりなので。」 「そう。私の我が儘だけど。これを預かってもらいたいの。」 そう言って 恵理子の母親から預かった 大きな封筒。 「恵理子はきっと とんでもない過ちを犯すはず。 これは あの子の最後の切り札になるものよ…。 それまでは秘密にしておいて欲しいの。 そんな日がないことを祈るわ。」 「何故そんな 大切?な物を僕に?」 「それは、貴方だからよ。 貴方は人を愛する事を知っている。恵理子の事も よく理解してくれている。 誠実な人だと私が思うから。 恵理子をよろしくお願いします。」 「中身は僕が見ても?」 「勿論 見て頂いて構わない。でも 何かは解らないと思うからwww」 「わかりました。大切に保管します。」 「じゃあ 恵理子に解らないように車にしまって来てください。」 車に封筒を隠しに行く。 好奇心から中身を覗いたけど、 書類やらクリアファイル。 全て英数字で なんなのか解らなかった。 店内に戻ると 恵理子が座って 「何してたの?」 と聞いてくる。 「煙草を取りに行ってたw」 「ふ~ん…」 食事が終わり彼女の母親を病院に送って行く。 「恵理子をよろしくお願いします。」 そう言って頭を下げた 恵理子の母親。 その年の桜の花が散る頃に 彼女は天に召された。 今でも僕の引き出しに入ったままの封筒。 これを恵理子に渡す日が来ない日を。 ただ それだけが願いにもなった。 封筒の中に一枚の日本語による走り書き。 《カイ君 本当にごめんなさい。貴方と恵理子の関係に深い歪みができてしまった時には〇〇総合病院の精神科の○○医師に預けて下さい。 貴方と恵理子が幸せになれることを祈ってます。 恵子。》 おばさん。僕は約束まもれてますか? 貴女を お母さんとは呼べないままです。  
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