星に願いを

恋の予感

「いいですよ、急いでるみたいだし、私がちゃんと前を見て歩いていなかったら…」

「いいえ、そんな、本当すいません」

俺の方が明らかに悪かった。それに女の子を転ばせてしまい、自分が急いでるからと言ってプリントも拾わずに去るなんてことできる訳がない。プリントを拾い終わり彼女に渡す。

「ありがとうございました。本当に、すみません。」

「いいえ、謝らないで下さい。完全に俺が悪いから…」

そういうと一瞬の沈黙のあと、じゃあ、と言って彼女は去って行った。

キレイな子だった。本当に、キレイな子だった。

「たける！早くしろ―！」

階段の下で博樹が叫んでいる。我に返り、俺は階段を一段飛ばしで駆け降りた。

――彰子？
あの時の君は、本当にキレイだったんだ。もしかしたら俺は、あの時からすでに君に恋をしていたのかもしれない。