今井彰子

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キーンコーンカーンコーン… 「なぁ、たける?お前来週末の田中教授の講義予約した?」 今日の最終講義が終わるなり博樹が俺に来週末にある講義のことを聞いてきた。 「あぁ、まだ。」 「はぁっ!?お前バカだろ!?田中教授の講義とらないとか、医学部きてんのに医者にはなりませんって言ってるようなもんだぞ!?」 「いや、とるけど…来週末でしょ?まだいいしょ…」 「お前ホンっトばか!サークルの前に事務行って予約してこい!」 そう、俺はこの頃とんでもなくバカでだらしなくて、提出物もギリギリ、登校時間もギリギリ、何もかもがギリギリの生活を送っていた。確かに…田中教授の講義は必ずとれと、先輩から聞かされていた。博樹にも言われたし、サークル始まる前に事務行くか…! バスケサークルが始まるのは5時半。着替えて行った方が効率がいいと思い、先にバスパンとロンTに着替えて事務に行く。 「すいませ―ん!あっ、服部さ―ん!」 事務のおばさんに声をかける。服部さんは怖いが遅刻届けやら再試験届けやらで、頻繁にお世話になっているため親しい。 「ま―たチャラ男が何の用だ?」 「来週末の田中教授の講義の予約!」 …つか、俺全っ然チャラくねぇし! 「あぁ、ここに名簿あるから名前書いて、1000円置いてって!」 え―っと…5年の斎藤健っと… 「…でさぁ、その人が超ダサいかっこして歩いてんのさぁ!私笑いこらえられなくてさ……」 横から女の子が4人やってきてなんだか話をしている。すると服部さんがいきなり 「あぁ、今井さん!ちょっと今時間ある?」 女の子4人の中に話しかける。呼ばれた今井さんという女の子が、先行ってて?と友達3人に言い、服部さんの前に来る。 「時間ありますよ!何かありました?」 「奨学金のことでね。書類持ってくるからちょっと待ってて。」 服部さんは事務所の奥に消えて行った。
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