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「そんなに関口さんって男の子に人気があったんだ…」
「まぁ、人気はあったけど、結局、和樹も関口さんも両想いだったんだけどね…」
洋平が去年の事を思い返しながら夕香に二人の関係を説明した。
去年の夏休みに和樹が朋華に告白した事。
その朋華が和樹と話し合ってイギリスに留学を決めた事。
その朋華の事を和樹は約束通り、帰ってくるまで待っていた事を……。
「なんだ…大蔵は知ってるのか…、じゃあ、関口の席は…、大蔵の後ろで決まりだな」
「えぇえっ!!!!」
「なんだ?、嫌なのか?」
担任が大声を上げた和樹に向かって不思議そうな声で聞いてきた。
「いや…、そう言う訳じゃ……むしろ良いですけど……」
「それじゃあ、関口はあの席で」
「はい、またよろしくね和樹くん。」
「よ、よろしく…」
朋華との余りにも急な再会に和樹は戸惑いを隠しきれず、朋華が挨拶してきているのに和樹は上擦った声で一言、『よろしく』としか言う事が出来なかった。
本当は和樹は次に朋華に会った時に言おうとしていた言葉があったのだが…。
余りの緊張にその言葉が出てこなかった。
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