4/4
前へ
/52ページ
次へ
高校に入ってしばらくすると、いつからか『Mクン』との連絡が途絶えるようになる。 それはもう、『S』(アイツ)が好きだと、 アイツじゃなきゃだめだと、確信したときだった。 好きだとわかっているのに何も行動しなかった。 アイツもアタシと同じ気持ちだと思い込んでいたから。 アタシたちは連絡はメールだけで電話なんてかけたことなかった。 お互い、絶対黙ってしまうってわかってたから…。 それにメールの方がよかったんだ。 アイツはメールだと絵文字がたくさんでとても元気で、会って話すときとはまるで別人だった。 「メールの方が面と向かって話さないから、本音が出る」 なんて友達が言っていたから、アタシはアイツが何を考えてるか知りたくて、本当の気持ちを知りたくて、メールでの連絡を選んだんだ。 アタシの方はその逆だった。 メールだと、こう書いたら変に思われるかなとか、相手が傷つくかなとか格好ばっかり気にして、本音なんかでなかった。 ここでも素直じゃないアタシ……。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加